「累犯障害者」山本譲司

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服役を繰り返す障害者たちを追ったルポルタージュ、『累犯障害者』を読みました。著者の山本譲司さんは元衆議院議員。2001年に政策秘書給与の流用事件で実刑判決を受けました。その服役中、刑務所内に障がい者が多いことに気づき、なぜ彼ら(彼女ら)が犯罪者となってしまったのか? その実情を追ったものをまとめたのが『累犯障害者』です。

殺人、売春、放火、監禁、偽装結婚……。
彼らはなぜ、罪を重ねなければならなかったのか。
障害者の犯罪をめぐる社会の闇に迫る。

刑務所だけが、安住の地だった――
何度も服役を繰り返す老年の下関駅放火犯。
家族のほとんどが障害者だった、浅草通り魔殺人の犯人。
悪びれもせず売春を繰り返す知的障害女性たち。
仲間内で犯罪組織を作るろうあ者たちのコミュニティ。
彼らはなぜ罪を重ねるのか?
障害者による事件を取材して見えてきた、
刑務所や裁判所、そして福祉が抱える問題点を鋭く追究するルポルタージュ

──Amazon内容紹介より

この本を手に取ったのは、息子が知的障がいの判定を受けた直後でした。障がい者を取り巻く現実を知ろうと思ったのです。でも、自分にとっては読むタイミングが最悪だったみたいで、最初の数頁読んだあとにちょっと読み進められないかも……と苦しくなりました。

刑務所に戻りたいと罪を侵す人、利用され犯罪行為に加担したことも分からずに刑務所に入る人、傍から見ると酷い目に合って居るのに「ココがいい」と出所後に福祉以外の場所へ戻る人……。いとも簡単に罪を重ねる(ように見える)障がいを持つ方たちの話に、背けたくなる現実を突きつけられます。

人類における知的障がい者の出生率は、全体の2~3%といわれており、実際、欧米各国では国民全体の2~2.5%が知的障がい者として報告されるとのことです。一方、日本では総人口の0.36%しか障害者手帳を所持していない、とこの本では書かれています(※2022年時点では前述の数値より増加しています)。

知的障害者の中でも、その八割以上を占めるといわれる軽度の知的障害者には、前述したような理由から、福祉の支援がほとんど行き届いていない。
(中略)
数多くの知的障害者が、生まれながらの障害を抱えていながらも、福祉との接点を持つことなく生きているのだ。もともと、社会や他人と折り合いをつけることが不得意な人たちだ。だんだんと社会の中で居場所を失い、それに貧困や虐待やネグレクトといった悪条件が重なれば、すぐに刑務所に入るようなことになってしまう 。

──文庫『累犯障害者』p284

『累犯障害者』を読み、上記の現実を初めて知りました。いや、薄々分かっていたけれど、どこか他人事として捉えていた、というのが正確かもしれません。じわじわと、彼ら彼女らの生きづらさを思い、辛くなります。

私にできることはあるのだろうか……。読んでから数カ月が経ちますがふとした瞬間に考え込んでしまいます。少なくとも息子には、福祉との繋がりを持ち、幸せになってもらいたい。そしてそんな人が1人でも増えたらよいなとも思います。その一歩目として、この本を通して障がいをもつ人たちの現実の一端を知ることができてよかったです。

個人的には『累犯障害者』は子育てに関わる人たちにぜひ読んで欲しいと感じました。知的障がい者の割合が2~3%という数値は、学校のクラスに該当する子どもがいる確率が高いということです。困難を抱える子どもの存在を周りが理解することで、当事者たちがより生きやすくなればと願います。
ただ、人によっては読むのがかなり辛くなる内容ですので、リアルでは手放しにこの本を読んでみて! とむやみやたらにおススメできません……。そこで今回、ネットの片隅に読書記録を残しておくことにしました。誰かの目に触れたらよいなと願いながら。

▽ ご紹介した本はこちら


累犯障害者 (新潮文庫)

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