安野光雅さんの絵本が好きです。とくに、文字が一切ない「絵」だけの絵本が好きで、何冊が所有しています。
最近は、字が読めない長男(3歳)でも、楽しそうに絵本を眺めています。たとえばこちら。
1|ふしぎなえ
三角帽の小人(のような人たち)が住む世界は、どこか変。水は上に流れ、階段を登ると下の階へたどり着く。小人たちが暮らすお家は、なんと床と天井がさかさまだ…!
「小人さんが歩いているよ。てくてく…あれ、おかしい。床が壁になっちゃった。大変!落ちちゃう!」。私の絵本にあわせてアテレコすると、3歳娘も「たいへん!」「おちちゃう~~!」と長男の合いの手をいれてくれます。
2|もりのえほん
「もりのえほん」は、私が小学生のころ大好きだった絵本。一見すると、静かな森の風景ですが…。次第に、木のなか、林のなか、草むらのなかに、動物たちの姿が浮かび上がってきます。
この絵本は、どこになんの動物が隠れているか、回答が書かれていないところが面白いと思います。数年越しに発見した動物もあり、驚きました。
ちなみに、知人に「もりのえほん」の秘密を教えずプレゼントしたところ、1年後にようやく「動物…いる!?」と気づいたとのこと。
3|旅の絵本
ヨーロッパの美しい景色が淡々とつづく絵本。しかし、よく目を凝らすと全ページに渡って同じ人物が描かれています。
この人は旅の人です。はじめのページで、馬を譲り受けた旅の人。つぎのページをめくると、馬とともに田舎町を旅している。次第に町は都会にかわり、華やかなパレードもはじまりました。
それでも旅の人はマイペースに進みます。都会の喧騒を横目に、つぎのページでは山道を抜けて、川をわたる…。
ページをめくるたび「たびのひと、どこー?」と夢中になってさがす長男(『ウォーリーをさがせ』的な)。文字はないけれど、ストーリーがあり、大人も子供も楽しめる絵本でした。
さいごに|絵本は読み聞かせだけじゃなかった
「子どもと一緒に絵本を読みたい」が、私の長年の夢でした。
ですが現実は、長女が産まれてしばらくたち、試しに絵本を読んでみたところ、まあ、お話なんて聞いちゃいない!実は、安野光雅さんの「もじ」のない絵本が、ふたりで楽しめた唯一の絵本だったのです。
あらゆることに「なんで、なんで、」だった長女。いまになって振りかえると、これらの絵本はそんな長女にぴったりで、「なんで、小人さんが落ちちゃうの?」「動物はどこにいるの?」「旅のひと、みつけたよ!」と、安野光雅さんの絵を通して、娘は「疑問」と「発見」の言葉を私にたくさん聞かせてくれました。
どのページから読んでもよいし、お話だって好きにつくればいい。こんな楽しみ方もあるんだなぁ、と教えてくれた「絵だけの絵本」でした。