漫画「ガクサン」を読みました。参考書出版社が舞台のお仕事ものです。漫画は基本的に完結したものを好んで読みますが(続きが気になるので)、こちらは現在も連載中で6巻まで出ています(2024年3月時点)。一つのエピソードが短めなので、読みやすいです。
物語の軸は、出版社のお客様相談係に寄せられる「質問」に対し、参考書オタク男・福山とサブカルミーハー女・うるしの2人が回答する、というもの。この「質問」は幅広く、参考書選びに迷っている、勉強の仕方が分からない、という勉強法のアドバイスを求めるものから、塾に行くお金がないので参考書だけで難解大学受験にチャレンジしたいなど、進路に対する悩みまで様々。メインは中高生の学習ですが、小学生の家庭学習から大人の資格勉強まで、多種多様なエピソードが取り上げられているので、「勉強」に興味関心がある方なら、楽しく読むことができ、また何かしら得るものがあると思います。
私が「ガクサン」を読もうと思ったのは、子どもの勉強を見るようになったことがキッカケです。何度かこのブログでも書いていますが、数カ月前から長女(小3)は学校ではなく、自宅学習で勉強しています。学習教材は何を使うか、どのように進めるかなどの学習支援は私がしている(せざるを得ない)状況です。親が勉強を見る場合、拠り所となるのは「自らの経験」であると想像しますが、私にはこの「経験」が少ないことに今更気づき、愕然としました。子ども時代を振りかえると、学習塾に通ったことも、参考書で自学したこともほとんどなく、勉強は学校でするだけだったのです。
小中校生の勉強の進め方が分からない、もっと具体的にいうと「参考書の選び方や使い方」がまったく分からない…。現在進行形でこのような悩みをもつ私にとって、「ガクサン」のなかで参考書オタク・福山が語る様々な参考書の解説はとても参考になりました。どれも同じに見えていた参考書でしたが、著者や出版社がどのような意図で作ったのかがそれぞれ異なると知り、奥が深い世界だなぁと感心しました。これから、参考書やドリルを見る目が変わりそうです。
1巻ラストでは、教育格差についても言及しています。親や周囲が教育に熱心ではない、地域に進学塾がない、そもそも塾に行くお金がない。そういう世界に育っても、難関大学に行きたいと思ったら、湯水のようにリソースを与えられた子と同じ土俵で戦わないといけない…。そんなとき「希望」となったのは参考書だった、という福山の言葉にはグッとくるものがありました。
私が子ども時代に素通りした「参考書の世界」に、子育てを通してもう一度足を踏み入れることができました。参考書の魅力に気がつかせてくれた漫画「ガクサン」、今後も続きが楽しみです。
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