「血圧、少し低いですね」
先日受けた健康診断でのこと。
血圧ひくいのは毎度なので「あー、はい、そうなんですよ。ずっと低いんですよ」と、結果を軽く受け流していたのですが…
「立ちくらみはしてませんか?」
「立ち上がるときは、ゆっくりですよ!ゆっくりね!」
なぜか、このときは看護師さんのアドバイスが耳に残りました。
(優しい声の方だったからかな)
そうか
立ち上がるときはゆっくりか。
* * *
育休復帰直前。
「仕事モードオン!!」
…と無性に「働きマン」が読みたくなり、Kindleで再読しました。
安野モヨコさんの代表作ですね。調べると10年以上前の作品でした。
主人公、松方弘子(28歳)は、寝食わすれて仕事に没頭する出版社の雑誌編集者。
1話では「あたしは仕事したなーって思って死にたい」という名言(?)まで残しています。
わたしが初めてこのマンガを読んだのは、社会人なりたてのとき。
情熱をもって仕事に取り組む松方の姿が眩しく「わたしもやりがいのある仕事をバリバリするんだぁぁ!」と意気込んでいました。
当時は、今と比べてまだまだ女性が働きづらい環境だった…と記憶しています。
あれから数年、
遠回りはしましたが、大小さまざまなプロジェクトに取り組み、「仕事の面白み」も、ときどき感じる瞬間がありました(当たり前ですが毎回ではない…)。
実務の経験はそれなりに自信につながりました。
また、技術系総合職のなかでは同世代の男性よりほんの少しだけ早く昇格しました。
(昇格試験内容がマネジメント・コミニュケーション能力をはかるもので、人事いわく女性のほうが得意らしいとのことです)
わたしはいわゆる「頭が切れてバリバリ仕事ができる人」ではないし、仕事に対してイマイチ自信を持てずにいたのですが、「やっと1ミリくらいは松方に近づいたかなぁ」と感じていたアラサーの頃、
子供を授かりました。
それから、2回の産休・育休をとりました。
今年の春に2回目の育休復帰です。
2回の育休間で仕事をしていたものの、1人目育児と2人目妊娠という環境下ではガッツリ働くとはいかず、初めての妊娠から考えるとメイン業務のブランクは実に4年。
このブランクは、少しだけついた自信を萎ませるには十分長い期間でした。
復帰から数日がたち、わたしは焦っていました。
同期との経験値はすでに周回遅れ、後輩も第一線で仕事をしています。
一方、わたしは全く仕事が振られない。
「早く仕事のブランクを取り戻したい!」
という思いが、ひとりカラ回りに感じていました。
上司いわく、
「いまはヨリさんの「ならし運転」の期間中です。」
「無理せず、まずは会社にくるということに慣れてください、空いている時間に勉強しててもいいよ〜」
とのこと。
たしかに子育て中なので仕事量をセーブせざるを得ない。
ゆるく働くことを許容してくれる組織には感謝しかないですが・・
ここでも「立ち上がるときはゆっくり」か
* * *
朝の改札を抜けると「間もなく電車が到着します」のアナウンスが聞こえてきました。
今日はいつもより保育園の送りがスムーズに進んだおかげで、普段乗る電車より1本早い電車に間に合ったらしい。
小走りにホームに向かおう…とふくらはぎに力を入れたとき、ふと健康診断の看護師さんの声が脳内で再生されました。
「ヨリさん、ゆっくりですよ!ゆっくりね! 」
うん。
わかってるんです。
急いでも、ゆっくりでも、ちゃんと目的の駅に時間通りに到着することを。
でも、こういう性格なんです。せっかちなんです。
そういえば「働きマン」のなかにも、こんな描写があったけ。
駅の階段を2段飛ばしで駆け上がり、ゼイゼイしながら出社する松方。
その姿をみて、生き方上手な先輩が
「君は急いでないのに駆け込み乗車するタイプでしょ、ベルが鳴ると条件反射で走るんだよね」
とサラリと評していました。
でも、いつも突っ走り、不器用にもがき続ける松方はかっこいい。
そんな仕事がしたいってずっと思っていました。
定時でサクっと帰ること、そして何よりも子供のことが最優先となった今、もう仕事に夢中になりたいって思うこと自体が贅沢な悩みなんだろうか?
そもそも無理か?
そんなことをモヤモヤと考えながら、ふと急ぐことをやめてみました。
間に合ったかもしれない電車のドアは、わたしがホームに着くと同時に閉まりました。
* * *
そんなわけで、最近かなり意識して「ゆっくり立ち上がること」を
またそこから派生して「ゆっくり動くこと」「ゆっくり話すこと」をしています。
「それをして、何かが変わった?」かというと、お伝えできる「何か」はないのですが…
すこし優しくなったと言われました(子供に)
また、仕事をセーブして働くという現状に対しても、徐々にポジティブに考えられるようになってきました。
復帰してもうすぐ1ヶ月
プロジェクトのメインメンバーとなって第一線で仕事……
とはいかずサポートでゆるく働いてます
30半ば中堅社員の仕事っぷりではないので、焦るけど…
ふつうなら一緒に仕事ができない同グループの少し上の先輩たちと同じプロジェクトに関われる!
これはチャンスかも♪
— ヨリ (@yori_mi_chi) May 22, 2018
2段飛ばしで仕事の階段を駆け上がってきたわたしには、明らかに基本を疎かにしてきたと自覚している技術・スキルがあります。
したたかな言い方になってしまいますが、いまは多少お粗末な仕事でも「育休明けだもんね」と周りも暖かくみてくれる(甘えすぎは禁物ですが!)。
ブランクは仕事のスキルを再構築するチャンスととらえて、一から勉強し直そうと思います。
また、これからはふだんは一緒のプロジェクトに入ることはないラインの先輩の仕事のサポートに入ることが多くなりそう。
30半ばはとっくに一人前にゴリゴリとプロジェクトをまわすことを求められますが、これも育休明けならではの、上司の配慮。
せっかくの機会です。新人・若手の頃には見えなかった先輩方の仕事のやりかた、しっかりと勉強させてもらいます!
育休復帰して1ヶ月が経過
本格始動とはいかないですが・・焦りはだいぶ和らぎました。
疲れているなと思うときは「ゆっくりですよ!ゆっくりね!」とおまじないのように唱えてます。
そして深呼吸し、
「仕事モードオン!!」
本日も通勤電車で育児モードから切り替えて、9時5時のワーママ働きマンしてきます!
▽仕事と育児の狭間でもがく松方の「働きマン」も読みたいな(連載再開しないかなぁ・・)
コメント
働きマン、大好きなマンガの
ひとつです。
読んでいた時、私は独身で、
子育てしながら働く現在の
状況は当時、選択肢になかっ
たです。
仕事に悩んでいたその頃を
思い出しました。
今、もう一度読んだら、また
違うだろうなぁと思います。
実家に置いてあるので、今度
持って帰ろうと思いました。
ゆっくり、ゆっくり。
いい言葉ですね!
私も自分に言い聞かせたい
です(笑)
やまさん、返信が遅くなってごめんなさい!
ここでも、「ゆっくり・ゆっくり」してしまいました(汗)
そして、いつも温かなコメントをありがとうございます!
「働きマン」、10年以上前の作品ですが、ぜんぜん色あせないですよね。
当時読んでいたときは、スルーしていた男性社員の悲哀みたいな話、
今になって読むと、ジーンときたりします…
ぜひ帰省の際は、手にとってみてください!
仕事に疲れているときや、モチベーションをあげたいとき、
マンガはサクッと手にとれて、最近また読んでいます。
それにしても、やまさんとは本やマンガの趣味が同じな気がします。
こんど、こっそりオススメ教えてください♡