「自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界 幼児期から老年期まで」は、自閉症スペクトラム症(自閉症、ASD)の女の子の、生まれてから老いるまでの様々なフェーズ(思春期、就職、結婚、出産、老いなど)における体験談が多く掲載された本です。私は、ASDの子どもを育てる親の目線で読みました。以下メモ。
─もっと早く診断されていればよかった?(p.168)
そもそも、ASDは男性に多いという通念があり、大人になってからASDと診断される女性が多いとのこと(作者もそのうちの一人)。適切な支援と介入を受けることが、ASDの人にとって最も望ましいとされるなか、「もっと早く診断されていればよかった?」との問いかけに対する答えがとても興味深かったです。
早期診断を受けていれば、たくさんの心の痛みや、自分に何か問題があるのではないかという感覚から解放されていただろうと話す女性がいる一方、何人かの女性は「子どもの頃に診断を受けなくてよかった」 と語っています。それは、子どもの頃に診断を受けていたら自分で限界を決めていてしまったかもしれないし、両親や先生など自分を守ろうとしてくれる人から制限を受けていたかもしれないと感じているためでした。
アスペルガーの若者の多くが(特に母親に)守られてる様子を目にすると、彼のためになっていないと感じます。自分には障害があると息子や娘に感じさせてしまうのではなく、もっと励ましてあげたらどれだけのことができるようになるか、親が気づいていないように思います。(ASD女性)
──p.179
との言葉にはドキリとしました。ASDと診断された3歳息子には発達の遅れもあり、そんな息子に対しまだまだ赤ちゃん扱いしてしまう自分の姿と重なったからです。適切な支援と、子ども自身が困難を乗り越える力を養うためのサポートをするため、もっとASDについて理解を深めたいと改めて思いました。
(息子が一番ハマっているのは絵本をめくること)
私自身はASDではない(と思う)のですが、ASDの女性が語る体験談にはとても共感でき、勇気をもらえるものも多かったです。「自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界 幼児期から老年期まで」は、17章から構成されており内容が盛りだくさんなので、興味のある章だけ読むのも良いかと思います。子どもと向き合うなかで、また読み返すことがある書籍だと感じ、今回ブログに記録しました。
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