「シン読解力」新井紀子

数年前に出版され、ベストセラーとなった「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」。その続編ともいえる一冊、「シン読解力」を読みました。前作では、文章の意味を正しく理解できない子どもが想像以上に多いこと、さらに大人でも読解力が不足している人が少なくないことが指摘され、大きな衝撃を呼びました。

多くの識者やメディアがこの本を「だから国語は大事」「読書をすればいい」と取り上げたそうですが、新井さんはその流れに違和感を覚えたとのこと。文学作品のような物語を読む力と、教科書のような説明文を正しく理解する力は、そもそも別物。それなのに、どちらも「読解力」とひとくくりにされていることに問題があるのでは?と考え、一般的な「読解力」と区別し、教科書を読み解くために必要な能力を「シン読解力」と名付けたそうです。

すなわち、「シン読解力」とは、教科書や説明文のように、知識や情報の解釈が一つに定まるように書かれている文章を読み解く力です。

私自身、この「シン読解力」が現代でますます重要になっていることを実感しています。仕事ではメールや資料のやり取りが当たり前になり、誰もが説明文を正確に読み取って、適切な返信や報告書、提案書を作ることを求められるようになりました。そして、そこに加わったのが生成AI。

日々、AIと対話しながら文章を仕上げていますが、AIは便利な一方で、事実とは異なる情報をもっともらしく提示することがあります。いわゆる「ウソをつく」わけです。だからこそ、本書の指摘にもあるように、AIの出力をそのまま受け取るのではなく、「本当に正しいのか?」と疑い、裏付けを取る読解力が、今まで以上に必要になっていると感じます。

本書では、「読解力は才能ではなく、スキルである」と強調されており、トレーニング次第で鍛えられると述べられています。実際にさまざまなテストの事例も紹介されていて、それらを試してみるだけでも面白かったです。

子どもたちの勉強を見ていると「教科書を十分に理解できていないな…」と感じることがたびたびあります。これからは、成長に合わせて「シン読解力」を鍛えるような働きかけも意識していきたいなと思いました。

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