今回は、宮下奈都さんの「神さまたちの遊ぶ庭」についての感想です。
#読了「神様たちの遊ぶ庭」/宮下奈都
タイトルの「神様たちの遊ぶ庭」ってどんな場所なのか?
途中まで小説だと思って読み進めていたが「これ実話!?」と気づいてからが面白かった。
このエッセイを読んで、いま保育園児の我が子が小・中学生になる日がとても待ち遠しいと思った。
— ヨリ (@yori_mi_chi) August 30, 2018
小説だと思って読みはじめたが、「エッセイ」だった
「大雪山国立公園の中にトムラウシっていう集落があって、すごくよさそうなんだ」
急に言いだした夫。
北海道の帯広で暮らすことが決まっていた宮下さん一家ですが、
「やっぱり、帯広やめないか」
「せっかく北海道へ行くなら、大自然の中で暮らさないか、ってこと」
帯広から変更した移住先は北海道のちょうどど真ん中。
近くのスーパーまでは37キロ、小中学生は全校生徒10人、高校はない。
遊びに行くのはいいが、とても暮らせる場所ではないんじゃない?
夫と波風たてずに反対するため、ママ(著者)は子どもたち(14歳・12歳・9歳)に決断をゆだねました。
ところが、予想に反して子どもたち、
「いいね」
「おもしろそう」
サクッと北海道・トムラウシへ1年間の山村留学することが決まりました。
え?さすがにあっさりすぎない?仕事とか学校はどーするの??
小説のような展開にワクワクしながら、読み進めます。
(実際、途中までエッセイと気がつかず小説だと思っていた)
「神さまたちの遊ぶ庭」ってどんなところ
さて、そんな大自然のなかでの生活がはじまった宮下さん家族
ここは、カムイミンタラ – アイヌの言葉で「神々の遊ぶ庭」- と呼ばれる土地です。
散歩に出かけるとそこにはエゾシカの群れやめずらしい鳥の鳴き声・・
木の陰から黒い鳥がばさばさっと飛び立った。
「今の見た?」
夫が興奮気味に振り返る。
「真っ黒で、羽ばたき方がかっこよかったね。何の鳥だろう」
飛んでったほうをしばらく見ていた。私は知っている。あれはカラスだ。
見慣れたカラスさえも新鮮にうつる環境のよう(笑)
「トムラウシ」は山奥の集落で、テレビは難視聴地域、もちろん近隣にスーパー・コンビニ・本屋さんはありません。
山を下りて町まで出ると、1軒だけ本屋さんがある。
(中略)
単行本は1冊しか置いてなかった。本屋大賞をとった本だ。いつかこの本屋さんに私の本が置いてあったら嬉しいだろうなあとしみじみ妄想する。しみじみ無理だと思う。
この頃、宮下さんは「羊と鋼の森」を執筆中。
数年後に本屋大賞を受賞し「町に1軒だけある本屋さんに本を置いてもらう」という願望を果たすのでした。
子どもの成長が楽しみになった
話は変わりますが、私には今月で4歳・2歳になる子どもがいます。
子どもが産まれてから、よく耳にする「子どもは3歳までに一生分の親孝行するからね」という言葉。
確かに3歳までの動物的な可愛さは格別です。
これから反抗期になったら「うっせーバーカ」とか言うようになるんだろうな・・ と想像すると、「もっとゆっくり成長して〜」と思ったりしてました。
一方で、最近4歳になった娘。
大人顔負けの会話をするようになり、娘とおしゃべりすることが一層楽しくなりました。
子どものフィルターを通した世界って、なんて面白いんだろ。
とずっと聞いていたくなります。
そして、宮下さんのエッセイに登場する3人の小中学生の子どもたち、
みな個性的で面白い!!
ところで、このエッセイを書くにあたって、一応家族の了解をとったのだか、慎重派の次男だけは、あまり自分のことは書かないでほしいと言った。
(中略)
「名前も仮名にしてほしい」
うむ。それは私も考えていた。本人の知らないところで表に名前が出てしまうのはあまりよくないことかもしれなかった。
「漆黒の翼」
「え?」
「だから、仮名『漆黒の翼』にして」
ほんとか。宮下漆黒の翼か。それでいいのか次男。
校長先生にこの連載がばれた。
(中略)
「漆黒の翼」も本人にばれ、やめてほしいと言われてしまう。どんな仮名ならいいのかとあらためて聞いたら、
「英国紳士」
「えっ」
というわけで、次男は来月から宮下英国紳士です。よろしくお願いいたします。
この本を読んで、一番にはじめに感じたことは
「子どもの成長が今よりもっと楽しみになった」
ということ。
娘と息子が小中学生になったとき、わたしにどんな世界を見せてくれるのだろう?
今から、とても待ち遠しくなりました。
最後に
「北海道の山村に移住した一家とその地域で暮らす人々の交流をかいたエッセイ」
と聞き、心温まる牧歌的な風景や人々を想像して読みはじめました。
が、それだけじゃない。
田舎の人は素朴でいいでしょう、などとも言う。
田舎の人は素朴か。そうだとも言えるし、そうではないとも言える。人によってだ。当たり前の話だ。
都会の人はみんな冷たいか。みんなせかせかと忙しなくいつも疲れているのか。そういう人も多いかもしれないが、そうでない人もいる。
田舎の人は素朴でいい、などと簡単に言える人の頭の中のほうがよっぽど素朴だと思う。
思わず笑ってしまう個性的な人々、不意に目頭が熱くなるエピソード・・とても「素朴」との一言ではあらわせない。
月並みな感想ですが
とっっっても、面白かったです!!
▽本をめったに読まない夫も読了。夫婦でハマっています。
コメント
こんにちは。
このエッセイ面白そうですね。北海道出身なので、読んでみたいなあと思いました(*^^*)トムラウシは行ったことがありませんが…(^_^;)
りくさんは北海道出身なんですね。
地震は大丈夫だったでしょうか?
心配です。
この本、とても読みやすいし面白かったので、興味をもっていただけて嬉しいです♪
常に自然と向きあっている北海道の方々の生きていく強さが垣間みれた気がしました。
1日でも早い復興をお祈りしております!!
あのあと早速電子書籍で買って一気読みしました(笑)私も十勝出身なので知っている地名がたくさん出てきて、より面白く感じました!!
実家は震源地から離れているので、1日停電しただけで余震もないようです。お気遣いありがとうございます(*^^*)
ちょうど、十勝出身の友人と地震の話をしたばかりでした。
りくさんのご実家も大事に至らず、本当によかったです!!
早速読まれたんですね〜
確かに知っている地名が出てくると「おお!」ってなりますよね^^
わたしは、このエッセイと漫画の「銀の匙」を読んでから、北海道にいきたくてたまりません(笑)